英国女王の夫君の称号の種類 – 婿殿シリーズ Part III
先の記事を参考にしていくと、英国女王の夫君の称号に以下の種類が考えられることになります。
- King (of England/GB/UK)
- King (他国の)
- King-Consort
- Prince-Consort
- Prince (of England/GB/UK)
- Duke (of the realm)
- 元々帯びていた称号のまま
まず、’King’に関しては上記のように二通りあります。他国の国王がその称号のままでいる。もしくは、他国の国王であったりその他の人が’King of England (etc)’の称号を賜る。メアリ一世の夫君は後者に当たりますが、前者の例はイングランド系統にはありません。スコットランドのメアリ女王の最初の夫フランソワ(当時のフランスのドーファン)も後者でした。
三番目のKing-Consortはなんとも訳に困る語です。Prince-Consortが王配とか王配公とか訳されますから王配君とか訳しますか(そもそも王配公と言う訳が好きではないので投げやり、ともいう)。王妃のことをQueen-Consortと言うことからも分かるように、王妃の男性形といったものですね。ただし、王妃は問答無用で王妃になりますが、King-Consortは称号を賜る必要があります(女王が賜ったり、議会が送ったり)。
じゃぁ、一番目のKingとはどう違うのかという疑問が浮かびます。結局は権限の差です。実質的な影響力はともかく、形式的には、コインに夫の名前や肖像画が併記されない、議会が両人の名で招集されない、詔書などにも併記されない、などがあります。
Prince-Consortに関しては…女王の夫しての公式な地位を英国王族の地位とともに正式に授ける称号だと私は思っています。ただし、King-Consortほどのいわば女王と「准同格」であるようなほどの地位ではない、ということでしょう。もっとも、これを受けた唯一の人はKing-Consort以上の影響力と実力を持っていましたが。
次の’Prince of Eng/GB/UK’ですが、これは要するに英国王族の地位だけを与えるというものです。ここでは女王の配偶者としての公的な地位を明示する称号を与えられていない、ということになります。これについていえば、現エディンバラ公爵が1957年に’Prince of the United Kingdom’に叙されています。もっとも彼の場合結婚のほんの直前に’Duke of Endinburgh’に叙されているので次のカテゴリーに分類されるでしょうけども。(もっとも宮殿は同時に’Prince’を叙したつもりだったのだけども…)
次は英国の公爵位を賜るケースです。まぁ、別に公爵位でなくとも良いのでしょうが、女王の夫君となる人ですから、公爵位が爵位の中では相応しいでしょう。現エディンバラ公爵はエリザベス王女との結婚式の直前、アン女王の夫君ジョージ王子は前国王・女王であるウィリアム三世とメアリ二世の在位時に王位継承者の夫として賜っています。「女王の夫」という状況になってからの授爵ではないものの、明らかに後に「女王の夫」となったときの立場強化も兼ねているといえるでしょう。
最後の、元のまま、ですが、要するに結婚後何らかの理由で称号を与えられていない状況にあります。ジェーンの夫やPricne Consortとなるまでのアルバート公がこれに当てはまります。政治的な要因が主だといえるでしょう。
さて、次回はメアリ一世の夫君を見ていくことにします。
私は良くPrince Albert of Saxe-Coburg-Gothaのことをアルバート公と書きますが、この時の「公」は’Prince’の訳ではなく、日本語で敬意を表す接尾語の「公」のつもりです。Prince Albert of S-C-Gの’Prince’はPrinzですから、君主家の一族の位です。S-C-G当主はFürstですから、その一族のであるPrinzを訳すとするなら「公子」でしょう。Prince-Consortを考慮を入れるとまた話がややこしくなりますが。
Kingとしてイングランド王とは知りませんでした。
(てっきりKing-Consortとばかり思っておりまして
夫君王などと書いておりました(^^;)これから先の女王の夫君についての記事を
楽しみにしております。
今書いている所なので、ご期待に添えるように頑張ります。