ウェールズ語講座 Uned 0. アルファベット
ウェイルズ語は所謂ラテン語アルファベットを使う点では英語と同じなのですが、使われる種類がやや異なります。ウェイルズ語には以下のようなアルファベットがあります。
アルファベットとその発音の仕方、及びこのサイトでの表記方法を以下に記します。
- A
- ア、もしくはアー
- B
- 英語のB音と同じ。バ行で記す。
- C
- 英語とは異なり、すべて[k]音。ラテン語と同じ。カ行で記す。
- CH
- のどに端を詰まらせたようにカ行を発音する所謂[x]音。このサイトでは、`カ・`キ・`ク・`ケ・`コと記す。
- D
- 英語のD音と同じ。ダ行で記す。
- DD
- 英語のthの濁る音と同じ。`ザ・`ズィ・`ズ・`ゼ・`ゾ
- E
- エまたはエー
- F
- 英語のVの音と同じ。ヴァ行。
- FF
- 英語のFの音と同じ。 ファ行。
- G
- 英語のGの音と同じ。ガ行。
- NG
- 英語のŋ音と同じ。弱いG音が付くンであるが、カタカナでG音を書くと、G音を強く意識しすぎてしまうので、あえて「ン」と書きます。ただし、水谷(p.xvi)では"Bangor"を例として、有声G音の例も挙がっている。こういった場合は適宜対処することにする。
- H
- 英語のHの音と同じ。ハ行で記す。
- I
- イまたはイー
- L
- 英語のL音と同じ。ラ行で記す。
- LL
- 英語のLを発音する舌の状態で、舌の両脇からゆるく空気を吐き出し、サ行っぽい音を出す。~サ・~スィ・|~ス・~セ・~ソと記す。
- M
- 英語のMの音と同じ。マ行で記す。
- N
- 英語のNの音と同じ。ナ行で記す。
- O
- オ、オー
- P
- 英語のP音と同じ。パ行で記す。
- PH
- 英語のF音と同じ。ファ行で記す。
- R
- 巻き舌をするR音。ラ行で記す。思い切って強く巻き舌するのがコツです。
- RH
- 舌を震わせるが、無声音で始まるR音。`フラ・`フリ・`フル・`フレ・`フロと記す。
音声学的には不正確かもしれませんが、巻き舌をしないで弱い感じの音でラ行の音を出すと、良い感じに聞こえるような気がします。決してしっかりと日本語的に「フラ」といわない方が良いです。`フはあくまで無声音的な音がフっぽくきこえるというものでしょうから。
- S
- 英語のS音と同じ。サ行で記す。ただし、iと組み合わせてSiaシャ、Sioショなどにもなる。
- T
- 英語のT音と同じ。タ行で記す。
- TH
- 英語の濁らないth音と同じ。`サ・`ジ・`ス・`セ・`ソと記す。
- U
- イまたはイー
- W
- ウまたはウー
- Y
- イまたはイー、もしくはア
このうち、A, E, I, U, O, W, Yが母音です。
WとYも母音であることに注意してください。WとYが母音であるという意識がないと、長いスペルの単語などで「どう読んだら良いのだろう???」と思ってしまうことがありえます。なんだかんだ言っても英語やローマ字に慣れ親しんでいる私たちは「英語的(もしくはローマ字的)な母音の解析」をして読んでしまいそうになります。英語・ローマ字ではWとYは母音ではありませんので、この二つを母音とする語が出てきた場合、どうしても「母音がないのにどう読むの?」となってしまうのです。
英語とのアルファベットとは以下が違います。
DD, FF, LL, NG, TH, PHには2つの文字が並んでいますが これは2つの文字で1つのアルファベットと考えます。したがって、"llyfr"の様な単語の場合、辞書では"L"の項目ではなく、"LL"の項で載っています。結構ついうっかしして"L"の項で引き、「載ってない~」と焦ってしまうので、注意しましょう。
ウェイルズ語では基本的に英語で言うところの"J"、"V"、"K"、"Q"、"X"、"Z"を通常用いません。ただし、外来語や専門用語を綴る際には用いられる場合があります。
“J"の音はウェイルズ語にはなく、"Si"の音で表されます。つまり、"John"→"Sion"(ション)、"Japan"→"Siapan"(シャパン)。ただし、"Japan"のような(特にあからさまに近現代に入ってきた)外国語からの借用語の場合は、しばしば"Japan"と綴り、英語と同じようにジャパンと読まれます(現代のウェイルズ語話者は全て英語もネイティヴですから)。
また、"V"に関しては、上記の表の通り"v"音は"F"で表します。"K"音は"C"で表します。
アクセント記号が付いたアルファベットがたまに出てきます。例えばŶやŴなどですが、これになると長音となるようです。
二重母音
基本的に上記の表で記したように発音していけばいいのがウェイルズ語の楽なところで、ローマ字やラテン語と同じ感覚で読んでいけます。ただ、ラテン語に二重母音があるように、ウェイルズ語にも以下の母音の組み合わせの場合は、原則的に次のように読み方が変わります。
- AE
- [アイ]
- AI
- [アイ]
- AU
- [アイ]
- AW
- [アウ]
- EI
- [エイ]
- EU
- [エイ]
- OE
- [オイ]
- OY
- [オイ]
- WY
- [ウイ/オイ]
例えば:
- mae
これは英語で言うところのbe動詞のようなBODの三人称単数現在形ですが、もし二重母音を無視して読めば、マエと読んでしまいそうになります。しかし、上記の二重母音のルールにより、実際の読み方はマイです。
そうそう、ウェイルズ語で「ウェイルズ語」を意味する:
- Cymraeg
もカムラエグではなく、カムライグですね。ここではYが母音だったということも確認しておきましょう。Yはアともイとも読みますが、ここでは「ア」です。
カムライグ、それは省略する言語
ウェイルズ語は非常に省略していく言語です。まぁ、言語は多かれ少なかれ省略する言語なのですが、おそらく日本人がウェイルズ語を習う時にこの「省略」という部分で躓くような気がするので、最初に「省略する言葉なんだ」という事を頭に入れてくださったほうが良いです。出てきた時に説明しますので、何となくルールは適宜頭に入っていくでしょうが・・・
アンシェヌマン??
アンシェヌマンというのはフランス語の用語で、ウェイルズ語文法では何と言うのかわかりませんが、語尾と語頭の音が同じ単語が組み合わさった場合、一つの音で読まれる場合があります。
- Sut rydych chi?
- シト・ラディ`キ
- ご機嫌いかがですか?
英語でHow are you?の意味ですが、rydych chiを「文字通り読めば」ラディ`ク・`キとなります。じかし実際にはラディ`キと読まれます。
まぁ、しょっちゅう起こるわけではありませんが、たまにこういう組み合わせが出てくれば、注意しましょう。なんでこういうことが起こるかというと、発音しやすく読んでたらこうなった、というようなものですので、わざわざ発音しにくいラディ`ク・`キで読む必要はないです。
ここでは基本的にこのようにつながっている語のヨミガナは上記のように1語で書くようにします。つまり、rydych chiはラディ`キと書きます。
アルファベットに関してはこのような感じになります。
基本的にラテン・アルファベットですから、発音以外はあまり難しくはないと思います。さーっと流して実践に入って行きましょう。
はっきり言って、発音をカタカナで完全に再現することは困難です。実はスクリプトとしてはカタカナは非常に優秀ではあるのですが、どうしても日本語に元から無い音には弱いものです。また、私も音声学方面は素人ですので、発音をもっとしっかりしたい人は、水谷先生の本を見るか(音声学的に解説がされています)、BBC Walesの音声解説をじっくり聞いてください。
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