ウェールズ語講座 Uned 6. 現在形 肯定文 3 「私は~が好き」を表現
先のユニットで、「私は~します」という文を習いました。これによって「私が普段何をしているのか」、もしくは「今何をしているのか」を伝える事ができました。
次に伝えるのはやっぱり自分の趣味とか好みのことです。映画が好きだったり、特定の俳優が好きだったり、スポーツ選手が好きだったり、歌うのが好きだったり、飲むのが好きだったり… 自分の趣味なら話が弾みそうですが、それにはやはりそれを伝える方法を習わないといけないわけです。
さて、前回「私は~する」という文を習いました。簡単に言えば、一人称で動詞を扱う方法を習ったわけです。「私は~が好きです」という文は見かけどおり動詞ですから、基本的には前回習った知識を踏襲することができます。
「私は~が好きです」と伝える
「好きである」という動詞である"hoffi"を用います。
- Rydw i’n hoffi ffa pob.
- ラドゥ・イン・ホフィ・ファ・ポブ
- 私はベイクドビーンズが好きです。
- Rydw i’n hoffi Ryan Giggs.
- ラドゥ・イン・ホフィ・ライアン・ギグス
- 私はライアン・ギグスが好きです。
- このように、人物名を目的語に取ることも出来ます。
- Rydw i’n hoffi yfed cwrw.
- ラドゥ・イン・ホフィ・アヴェッド・クゥルゥ
- 私はビールを飲むのが好きです。
- Rydw i’n hoffi gwylio ffilmiau.
- ラドゥ・イン・ホフィ・グウィリオ・フィルミアイ
- 私は映画を見るのが好きです。
最後の例文に注目してください。「好き」の意味である"hoffi"の後ろにそのまま動詞をつなげると「~するのが好きである」という表現ができます。
主語"i"と主動詞である"hoffi"の間には「進行・状態」の付加辞"yn"が入ります。
しかし、"hoffi"と「~するのが」の部分である動詞(ここでは"yfed")の間には付加辞"yn"は入っていません。気をつけましょう。
この例文は英語で言えば、"I like drinking beer."となります。ウェイルズ語のいわゆる動詞は乱暴に言ってしまえばデフォルトでは動名詞的な感じで(水谷では動詞的名詞と呼ばれる)、進行・状態の付加辞"yn"を前におくことで「~する」「~している」という英語的な動詞の状態になります。英語の"drinking"の部分は英語で言うと動名詞です。ウェイルズ語ではデフォルトで動名詞的な感じですから、付加辞の"yn"が"yfed"の前には要らないわけです。たぶん。
「とても好き」(“I like ~ very much")と言う場合、"yn fawr"を用います。
- Rydw i’n hoffi chwarae rygby yn fawr.
- ラドゥ・イン・ホフィ・クワライ・ラグビィ・アン・ヴァウル
- 私はラグビーするのがとても好きです。
- “yn fawr"は以前"Diolch yn fawr"(どうもありがとう)と言う表現で出てきましたね。
- Dw i’n lico marchogaeth.
- ドゥ・イン・リコ・マル`コガイ`ス
- 私は乗馬が好きです。
- Dw i’n lico canu.
- ドゥ・イン・リコ・カニ
- 私は歌うのが好きです。
- Rydw i’n hoff o ffa pob.
- ラドゥ・イン・ホフ・オ・ファ・ポブ
- 私はベイクドビーンズが好きです。
- Rydw i’n hoff o Ryan Giggs.
- ラドゥ・イン・ホフ・オ・ライアン・ギグス
- 私はライアン・ギグスが好きです。
- Rydw i’n hoff o yfed cwrw.
- ラドゥ・イン・ホフ・オ・アヴェッド・クゥルゥ
- 私はビールを飲むのが好きです。
- Rydw i’n hoff o wylio ffilmiau.
- ラドゥ・イン・ホフ・オ・ウィリオ・フィルミアイ
- 私は映画を見るのが好きです。
- まず、動詞の"hoffi"が形容詞"hoff"に変わっています。
- さらに"of"を意味する"o"がくっ付いています。“o"は"from"の意味と"of"の意味があります。
- “o"が来ていることによって、その後ろの語がS.M.を起こしているのがわかります("gwylio"→"wylio")。
- “I like music." = “I am () of music."
- Dw i’n hoff iawn o ddysgu Cymraeg.
- Rydw i’n casáu wisgi.
- ラドゥ・イン・カサイ・ウィスギ
- 私はウィスキーが嫌いです。
- Rydw i’n casáu cymdeithasu.
- ラドゥ・イン・カサイ・カムデイ`サッシ
- 私は人付き合いをするのが嫌いです。
[補足情報] “lico"を用いた「~が好き」という表現
S.W.では"hoffi"の代わりに"lico"(リコ)を用いる事があります。"lico"…… どこかで見た形ですね…。そうです、英語の"like"の借用語なのです。南部では歴史的にイングランド化が激しいので、英語からの借用語が良く使われます。これは、この一例です。
ここでは例文を挙げておきますが、まぁ、何というかせっかく習うのですから、ちゃんとした"hoffi"の方を覚えるべきです。ただ、Llambedあたりの人の場合、"lico"の方を使うかもしれないので、面食らわないように覚えておきましょう。もっとも、使い方は"hoffi"と同じです。
[補足情報] 形容詞"hoff"を用いた「~が好き」表現
さて、次の例文は上記に出てきた"hoffi"の例文を違う言い方に変えた例文です。何が違うのでしょう?
次のような違いが目に付くと思います。
さて、中学校の英語のテストなんかに良く次のような穴埋め問題がありました。
答えは"fond"つまり"be fond of"が「~が好き」という意味であると言う事を習いましたね。
これと似たような状況なのです。
動詞の"hoffi"を用いて"I like"を表現するのと同じように、形容詞"hoff"+"o"を用いて"I am fond of"を表現する事ができるのです。
このように"hoff"と"o"の間にiawnを入れると"I am very fond of~"、つまり「とても好きです」と言う意味になります。“hoff"が形容詞なので副詞"iawn"がここでは使えます。副詞"iawn"は形容詞の後で使われるので、最初の方に出てきた動詞"hoffi"の時の例では使えません。
“hoffi"と"hoff o"………どちらが良く使われるのか…?
ウェイルズ勉強会ではBBC Walesのテキストに沿った事もあり、"hoffi"しかやりませんでした。ネイティヴの2人も"hoff o"の表現は触れませんでしたので、どれぐらいの頻度で用いられるかはちょっとわかりません。
ただ、LlambedのWLPANのテキストでは、まず"lico"の説明をして、それと同じぐらいの扱いで"hoff o"の説明をしています。逆に"hoffi"の事は書いていません(口頭での説明はありました)。地域的な事と人によって変わってくるのでしょうが、あの辺りではそれなりに"hoff o"も使われているのではないでしょうか。
もっとも、"hoff o"の方はS.M.を伴うので、日本人的には動詞の"hoffi"を使う方がはっきり言って楽です。まず、"hoffi"のほうをマスターしてから、余裕があれば"hoffi o"も覚えておきましょう。"lico"は理解できる程度で、使う必要は無いです。
さて、「~が好き」ということはこれで伝えられると思います。
「私は~が嫌いです」と言う
「好き」があれば「嫌い」もあるのが、人の世です。「私は~が嫌いです」というには"hate"を意味する"casáu"(カサァイ)を用います。英語と同じく「私は~が好きではない」という様な否定文で表すことも出来るのですが、それは否定文の時に扱います。
次に「私は~したい」という表現を習いましょう。
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